今年も下地地区の入江橋で、午前7時から9時までアカハラダカの飛去数を調査しました。期間は例年通りの9月10日(火)から23日(月)までの2週間でした。
最終日の23日(月)に観察会を実施しましたが、一般参加者は20人と例年より少なかった。
前々日(21日)に台風19号が沖縄地方に接近し、当日は何とか天気は回復したものの、アカハラダカは37羽がスコープでやっと見える程度の遠いところを飛んだだけで今一つ盛り上がりに欠けた。
今年はアカハラダカの飛去には偏りがあり、12日(400羽)、18日(163羽)、19日(797羽)の三日間だけにまとまった数がカウントできた。
総数は昨年の694羽よりは増え1,572羽であったが、2001年〜2012年の平均飛去数2,632羽には遠く及ばない。長期的に見るとアカハラダカの飛去数の減少は確実のようです。
これ以上の環境の悪化を防ぎ、アカハラダカが増加するのを見たいものです。(この結果は入江橋周辺の飛去数であり、宮古全体の飛去数ではないことを申し添えます。) ここからは仲地個人の意見です。
アカハラダカの渡りをインターネットで調べてみると沖縄本島の名護岳で2013年の9月23日以降に3,831羽、奄美大島で2012年の9月23日以降に8,089羽カウントされています。
アカハラダカの飛去数の精度を上げるには、どうも9月いっぱいの観察が必要なようです。
宮古島でも実施したいのですが観察者が限られた数人だけで、しかもサシバの観察者でもあるので、体力的にも社会的にも不可能な状態です。
限られた日・時でも良いのでアカハラダカかサシバの観察が可能の方は、ぜひ申し出てください。
1) 過去4年間(2005年〜2008年)の平均飛来数は22,223羽である。今年は25,067羽をカウントした。いくらか個体数の変動はあるもののほぼ例年通りの飛来数である。
2)日本列島で繁殖したサシバは、そのほとんどすべてが秋の渡り時に南西諸島を通過する。宮古への飛来数が日本列島で繁殖したサシバのおおよその総個体数だと考えられる。ただ、サシバの渡りの幅は帯状になり約100Kmにも及ぶと考えられるので宮古でのカウント見落としも否めない。言えることは今年の日本のサシバの総個体数は最低25,000羽以上であるということである。
3)サシバの渡りは気象条件によって大きく左右される。今年は前半、気象条件が大変に 渡りに適していたので、私達のカウント以前(10月1日〜10月7日)にサシバの渡りが あった可能性もある。
4)宮古へのサシバの飛来は南西諸島にかかっていた寒冷前線が大陸からはりだした高気 圧によって東方海上へ移動し、南西諸島がその高気圧にすっぽりと覆われ、風向きが 北よりの風に変わったときに多くなる。例年サシバは10月10日前後、10月15日前後、10月18日前後に三回のピークをつくる。今年は大陸性高気圧に覆われた状態が長く続き 10月10日、10月12日、10月17日にそのピークをつくった。
5)鹿児島県の南部地域ではこれまで見られなかった越冬サシバが100羽以上確認されて いるという。今後はそのことも踏まえ、宮古へのサシバ飛来のピークが地球温暖化に よって前半にずれてこないかどうか等も詳しくチェックしたい。
6)宮古野鳥の会では県自然保護課とタイアップして毎年、サシバのカウントを行っている。これは日本では例を見ない画期的な取り組みである。あちこちから高い評価を受けている。環境のバロメーターになり得るある特定の渡り鳥をカウントすることによって、その年の繁殖地の状況、繁殖の実態、繁殖と人間活動との関わり等が浮き彫りにされるからである。このカウントは将来必ず貴重な環境資料として役立つものと確信している。 そのカウントで有名なスポットがアメリカのペンシルバニア州のホークマウンテンである。この観察地では1934年からタカのカウント調査が行われているという。そのデータは1950年〜1960年代 にかけてDDTなどの化学薬品の危険性を訴える際に大きな力を発揮したことで有名である。
対馬 | 宮古 | ||
2000年 | 66,141 | 3,176 | |
2001 | 112,695 | 7,741 | |
2002 | 104,224 | 3,599 | |
2003 | 22,654 | 1,984 | |
2004 | 112,597 | 7,479 | |
2005 | 132,434 | 3,057 | |
2006 | 78,829 | 3,057 | |
2007 | 64,873 | 1,104 | |
2008 | 61,643 | 912 | 風多発 |
2009 | 55,290 | 122 | 気良好 |
2010 | 209 | ||
2011 | 1500 | ||
平均 | 81,138 | 3,158 |
対馬 | 宮古 | |
2001年 | 112,695 | 7,741 |
2002 | 104,224 | 3,599 |
2004 | 112,597 | 7,479 |
2005 | 132,434 | 3,057 |
平均 | 115,488 | 5,469 |
(比率) | (22)対 | (1) |
2007年10月9日(寒露)から同22日までの2週間、県自然保護課が宮古島市の協力を得て伊良部総合庁舎屋上で、宮古野鳥の会が宮古本島の夕陽が丘(松原墓地団地上)でそれぞれサシバの飛来数調査を行い、今年は伊良部島で13,473羽、宮古本島で2,045羽の合計15,518羽が観察され、飛来数は過去5年の平均からすると余り大きな変化はない。
日別の飛来傾向は06年は調査開始の日に本格的なピークがあったが、今年は台風の余波で調査初日の9日は湿った南風で飛来数は少なかった。12日ごろからサシバの渡りに適した北から北東からの風にかわった。12〜14日にかけて両島あわせて11,000羽を超える飛来数が確認され、これが今調査期間のピークになった。時刻別に見ると、例年通り午後3時以降が多い。
また、同期間中に宮古島警察署が密猟防止パトロールを行い、何件かの通報はあったものの、摘発・指導には至っていない。宮古島署は調査期間終了後も警戒を続けていくとのことである。
1973年から始まった飛来数調査は今年で35年になった。年により多少の増減はあるものの、飛来数は調査開始から年々減少し、過去5年間は平均15,000羽程度で推移している。宮古本島では今年の調査期間中に飛来した個体は成鳥が目立ち、幼鳥が少なかった。これは本土や中国など繁殖地の環境劣化が原因ではないかとの指摘もあり、懸念される点である。
沖縄県自然保護課: 宮古野鳥の会 協力:宮古島警察署
沖縄県自然保護課(伊良部地区)と宮古野鳥の会(宮古本島・松原)が10月8日から21日までの2週間、宮古島に飛来するサシバのカウント調査を実施した。今年は総飛来数が21,004羽と、1999年以来7年ぶり20,000羽を超えた。内訳は伊良部地区の総飛来数が18,941羽、宮古本島(松原)が2,063羽。
過去5年間の資料では、カウントを開始する寒露の2日後ごろから飛来数が増加する傾向があるが、今年は調査を始めた8日と9日に伊良部地区で3,000羽、宮古本島(松原)で9日には1,000羽を超える飛来数が確認されるた。調査開始の初期に本格的な渡りが観察されたことが特徴的で、調査期間中、1日の飛来数としてはこれを超える数は両地区とも観察されていない。台風や前線などの影響もなく好天に恵まれたことが早い時期からの飛来につながったと見られる。1995年から2005年までの10年間(2004年を除く)の飛来数の平均がおよそ18,500羽という数から見ると、2006年も平均的な飛来数となった。
飛来数調査期間中の10月8日から21日、伊良部地区を中心に宮古島署が「サシバ密猟防止のためのパトロール強化」行った結果、同地区ではサシバを密猟するための道具などを所持していた者に対して2件の指導・警告を行い、密猟を未然に防止した。
沖縄県自然保護課: 宮古野鳥の会 協力:宮古島警察署
10月8日(寒露)から14日間、21日までに伊良部島(伊良部総合支所屋上)及び宮古島(久松)で県自然保護課、宮古野鳥の会がそれぞれ飛来数を調査した。
今年カウントされたサシバの飛来数は総計で19,733羽だった(伊良部:17,551羽、久松:2,182羽)。1994年から2003年までの平均飛来数は約22,000羽で、今年もほぼ平均的な数字だったことから、サシバは岩手県、秋田県から九州までを繁殖地とするが、今年の繁殖期はその地域の環境の大幅な劣化・悪天候による繁殖への影響は少なかったと推測される。
例年は調査期間の前半と後半にそれぞれ飛来数がピークを示すが、今年は調査開始時から15日の悪天候を除いては連日観察することが出来た。調査期間で天候の影響以外でピークが大きく2つに分かれなかったのが今年の飛来パターンの特徴と言える。
総体的には、カウント調査が始まった1973年からの飛来数は右肩下がりで、年による増減はあるものの、過去30年間では個体数の減少傾向を示している。
なお今年は伊良部、下地島で宮古島署が5人に指導・警告をし、密猟用の竿1本を押収した。昨年は同署の取り締まりの結果、指導・警告19件、03年は2件だった。
添付資料有
2005年10月25日 沖縄県自然保護課 宮古野鳥の会 協力:宮古島警察署 宮古島市
調査結果
・ 期間中に伊良部町役場屋上で9,060羽、平良市久松で1,233羽、合計で10,293羽を確 認した。
・ 昭和48年(1973年)から約30年間飛来数調査を実施しているが、直近の10年間の平均 は約21,000羽。今年の飛来数はその平均を大幅に下回る結果となり、平成13年(2001 年)に記録した8,400羽は越えたものの調査史上2番目に少ない数に終わった。
・ 調査開始から1週間は前線が九州の南岸あたりに停滞していたため、これがサシバの 南下を阻んでいたと推測される。しかし、天候の回復とともに飛来数は増え、10月16日 (木)、17日(金)にピークを迎えた。特に17日に最大飛来数3,928羽を確認している。 この2日間の飛来数が全体の約7割を占めている。
考察
・ 昨年度に比べ、数が減少したことについては、繁殖地で冷夏が続き、餌不足など繁殖 地の環境が整っていなかったと思われる。
・ 今年は、渡りの時期とカウントの時期がずれた可能性がある(10月1日から渡りが確 認されており、また4、5日頃多数の群の飛来が確認されている)
7.その他
10月9日 サシバ保護広報パトロール
(沖縄県、伊良部町、平良市、伊良部交番署、宮古野鳥の会、沖縄県猟友会宮古支部)
10月10日 サシバ保護集会、サシバ保護広報パレード(主催:伊良部中学校)
10月12日 サシバ観察会(主催:宮古野鳥の会、場所:平良市)
10月15、16日 密猟防止合同夜間パトロール(沖縄県、伊良部交番署、宮古野鳥の会、沖縄県猟友会宮古支部)
99年9月は、台風16・17号が宮古島の北で発生するなど異常気象が続いたためか、アカハラダカの渡りの初認が昨年に比べ7日間遅れて、16日になった。
例年は9月末日で打ちきる観察会を今年は初認が一週間遅れたことから、10月8日まで続行され、10月1日〜5日までに385羽の渡りが観察された。
10月に入ってから観察された渡りの個体数が、今年の特異な気候条件によってもたらされたものか、あるいは毎年渡っていたものかは、同時期の観察例が無いため結論づけることが出来ない。
(宮古野鳥の会)
羽を確認している。しかし対馬で確認された個体数と宮古島の個体数ではあまりにも数字がかけ離れており、どのルートを経由して南下したのか疑問が残っており、これから解決すべき問題を残している。
アカハラダカ 飛来のカウントを宮古野鳥の会が取り始めたのが 1981年です。その前年の1980年9月、宮古島大野山林で1羽 のアカハラダカを確認、迷鳥として記録しています。
カウント始めた81年に650羽を確認されたことから本格的に 白露のタカの渡りとして名付け、通過鳥の観察をはじめている。
以後は、迷鳥としてでなくアカハラダカの渡りを確認、カウントを 続けています。
アカハダカはハイタカ、ツミなどと同じワシタカ目ワシタカ科ハイタカ属の猛禽類で成鳥の全長は約30センチ、翼長は18・5センチ〜20・9センチほど。主にカエル、鳥、トカゲ、昆虫などを餌としている。
アカハラダカの見分け方としては成鳥の翼下面の風切り(翼の先端部分)の黒と他の部分の白のコントラストが極めて高い点があげられている。
その部分の違いから、同じ猛禽類のツミやチョウゲンボウなどと区別出来ます。
繁殖は中国の一部、朝鮮半島、台湾などで日本では島根県で1例が記録されている。
しかし幼鳥は巣立たなかったと報告されている。
また北の地方のものはフィリンピン、インドネシア、マレー半島、ニューギニアなど南へ移動し越冬している。
渡りは朝の日の出後の気温の上昇する時刻が多く習性と云われる。
98年の飛来調査では9月19日の726羽をピークに25日の637羽、17日の431羽などが多くカウントされた。
宮古野鳥の会 提供